コレクション: LOVE IN THE '90s IS PARANOID!

 90年代、我が国におけるバブル崩壊が始まる混沌とした時代。その一方でジュリアナ東京が芝浦にオープンし、明と暗がはっきりとし始める時代。それは人生における勝ち組と負け組がはっきりと線引きされる時代が始まったということ。俺は断然負け組が好きだ。それは幼少期から始まっている。ガンダムで言ったらカイ・シデン。キャプテン翼で言ったら森崎くんが好きだ。(正確にはどちらも負け組ではないが・・・)敗北者にはカタルシスが生まれる。幼少期の俺がその感情を汲み取っていたのかは定かではないが、齢50を迎える俺は今もヘタレだけが持つ哀愁に心惹かれる。疎外感、劣等感、擦り減る自尊心。ヘタレは常に端っこをメインストリートにしてきた。そしてヘタレのそばには常に音楽とアート、それぞれを救うカルチャーがあった。それは提供する側もまた端っこをメインストリートにしてきたからこその繋がりなのだと思う。(アーティストはこぞってインディーズ、自主制作という無敵の武器を使いそれを表現し続けた。)90年代カルチャーはまさにその端っこのカルチャーが増殖した時代。路地裏がメインストリートになった唯一の時代。端っこが自らのアイデンティティを主張することが許されはじめた時代。

俺は90年代と現代は共通点が多いと思っている。現代に文句があるわけでも、諦めているわけでもない。ただ、あまり面白くないとも思っている。90年代の熱狂から現代へ学ぶべきものがあるのではなかろうか。あの端っこが光輝いた90年代。皆がキワを攻めた時代。端っこ=キワ。

to “KIWA”